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大須賀淳
2023.6.27 12:38その他ニュース

勝手に視野がれ

2000ヒトケタ年代の中頃まで、「テレビ」と言えばおおよそこんな形が主流でした。

 

一方、現在の主流はこんな感じ。現在10代のうちの子供らなんかは、もう生まれた頃からこっちでした。

 

これらの間には「ブラウン管→液晶など」で薄型・大画面化、放送の信号も「アナログ→デジタル」といった変化がありましたが、一番大きいのは「画面の横:縦の比率」の変化です。

デジタル放送の開始以後、映像は従来より「横長」で作られるのが基本となり、規格や機材の大幅な更新が行われました。

 

これは(大画面化とも併せて)より人間の「視野」を覆って、映画やスポーツなどを迫力と没入感を伴って見せるのが狙い。大型横長のテレビは、リビングの一等地を占領して、家電の王様としてより勢力を伸ばして君臨するかに思われました。

ところが、この時期はYouTubeやニコニコなどネット動画メディアの勃興期とも重なり、テレビ放送というメディアが驚くほどのスピードで衰退を始めた時期にもあたります。

 

そして、2007年のiPhone登場以降、あらゆるメディア娯楽がスマホへと集約され、

 

現在「動画」も、スマホ上での視聴が全体の7〜8割を占めると言われるまでになりました。

制作側の「大きな誤算」だったのは、迫力や没入感を出すために横長で作った動画は、スマホの基本である「縦持ち」にすると、画面がすごく小さくなってしまい当初の狙いとは正反対(横にすると持ちにくいので、大半の方はこうやって視聴するでしょう)。

 

そして現在、一番伸びているのが、TikTokやYouTube Shortといった「縦動画に特化」したメディア。これらは、過去の映像メディアの中でも「最も狭い視野範囲」の中で、長くても数分の動画が切れ目なく無限に供給され「受動的にそこそこの快楽を無限に消費し続ける」という、何か「システマチックな家畜工場」のような環境を提供し続けています。

 

その中から新しい表現が生まれる事もあるだろうと思いつつ、やはり中年表現者としては大画面でスペクタクル的に展開されるようなコンテンツ制作に挑みたい!という気持ちも大きいのですが…

 

リビングの大型テレビ」は、性能をフル活用して迫力のエンタメを楽しむより「老人がワイドショーを消費する」のに使われる方が圧倒的に多いはず。映像の視野は広がっても、むしろ恐怖の煽りで視聴者を視野狭窄にさせ、コロナ・インフォデミックの最大の発生源となってしまいました。

物理的な視野が広がっても狭まっても、けっきょく大部分の視聴者は視野の狭いダラダラ消費メディアに集中してしまうのか。つい「勝手に視野がれ」なニヒリズムに陥りそうになりますが、ゴー宣道場のニコニコチャンネルではそれを乗り越える情念、エンタメの執念を持ったコンテンツをどんどん増やして行きたい!

あ、ところで今日のサムネに使った変な絵ですが

 

沢田研二「勝手にしやがれ」の歌詞から、「壁際に寝返りうって、恋人が出ていく音を背中で聞いている男」を画像生成AIに作らせてみたら、なにかえらく妙な味のある画像ができちゃったので逆に意味なく使いました(笑)

大須賀淳

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