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高森明勅
2023.7.26 10:07皇統問題

側室なき「男系男子」限定は先例・前例がない非伝統的なルール

皇室の伝統は、神武天皇以来、例外なく男系継承が維持されて来たこと、
よってそれを死守すべし、という意見がある。
これについて、神武天皇の実在を巡る立ち入った議論はさておき、
又、「男尊女卑」的な観点からは男系継承のように見えていても、
同時代の法的枠組みに照らすとそうと言えないケースがあった点
などもさておき、一点だけ指摘しておく。

それは、これまでの皇位継承は、側室から生まれた非嫡出子・非嫡系子孫
によって支えられて来た、という疑う余地のない事実があることだ。
過去の実情については、さしあたり清水正健編『皇族世表・皇族考證』、
帝国学士院編『帝室制度史』第3巻、神社本庁教学研究所編
『皇室法に関する研究資料』などを参照。

従って、もし“伝統”という言葉を使うならば、「男系+側室」
というセットこそがそれに当たる。
側室が不在で、非嫡出子・非嫡系子孫の皇位継承可能性を全く排除し、
なおかつ「男系男子」限定、というムチャな皇位継承の在り方は、
伝統どころか、かつて先例・前例がなかった。
だから、男系限定を維持すべきだと主張したいなら、側室復活論と
“セット”で唱えなければ、「伝統」に叶わない。
それにリアリティーがあるかどうかは、ともかく。

追記

〇7月23日のイベント「愛子さまを皇太子に」では、第2部に
斬新な企画が組み込まれた。
私は事前に、詳しい内容を聴かされていなかった。
なので、控え室では「会場の反応を見て、盛り上がっていないようだったら、
15分か30分ぐらいでさっさと打ち切りましょう。
貴重な時間を無駄にしたくないので」と提案していた。

しかし、私が予想していたよりも、担当のお2人(及び関係者)は
遥かに入念かつ熱心に準備を重ねておられたようだ。
当日、会場は大ウケで、この(私にとってはいささか唐突な)企画と
少し距離を取るつもりだった私まで、巻き込まれてしまった。
お二人(及び関係者)のご努力に敬意を表する。

〇同イベント後、作詞家の森由里子氏がわざわざ控え室までお越しになって、
ご高著『新時代のアマテラス 愛子天皇の未来へ』を戴いた。
この方は、これまでTVアニメ「ドラゴンボール」の主題歌や中森明菜、安室奈美恵、
郷ひろみ、ももいろクローバーZなどの作詞を手掛けて来られたようだ。
ご好意に感謝。

〇今月のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は
7月28日午前8時から公開予定。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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