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笹幸恵
2023.7.29 07:42皇統問題

1ミリも進化しない倉山男系論

驚いたなぁぁ。
『SPA!』8/1号の倉山満の皇位継承の記事を読んだけど、
1ッミリもアップデートされていない。

皇位継承問題とは何か。
神武天皇の伝説以来の歴史を、
悠仁殿下お一人が背負っておられる。
悠仁殿下の御代をお支えする体制の構築こそが、
喫緊の課題だ。

いや、違うって。
皇位継承問題とは、文字どおり
皇位の安定的継承をどう現実的に実現させていくかで、
それこそが喫緊の課題。
もう先細りは明々白々なのだから、
悠仁さまの御代で何とかしようとしても遅い。
なぜ自論について批判的吟味を加えないのか、
まったくもって不思議だ。
信仰だから無理か。

「神武天皇の伝説以来の歴史」についても
ご丁寧に解説しているが、雑すぎる。

ニニギノミコトから神武天皇へとつながり、
人代は神武天皇の後、息子の息子・・・・・・と
系譜がつながり悠仁殿下に至る。

つながってないから。
系譜を見れば、息子が継承していない例など
いくらでもある。
ちゃんと見ろ。

その後、着袴の儀で、悠仁さまの着物の綴じ糸が
山科流だったことから「大御心は悠仁殿下にある」と断言、
思いを忖度することの重要性を説いているが、
ならば「生前退位」のときのメッセージで、
「象徴天皇の務めが常に途切れることなく,
安定的に続いていくことをひとえに念じ」という
お言葉をどう捉えているのか。
男系だけでは続かない。
少なくとも側室がいなければ。

にもかかわらず、倉山はこう言って逃げている。

障害は多い。何より、絶対に子供が生まれる技術など
無いのだ。どんな制度であろうと、常に皇位の継承は
不安定だ。男系以外の女系に拡大しても、
あまり変わらない。

「あまり」って何だ(笑)。
絶対に子供が生まれる技術などないから、
せめて性別の縛りだけは外そうよ、
という話をしているんだけどね。
男女を産み分ける技術だってないのだから。
それはうやむやにして、
「常に皇位の継承は不安定だ」って、
開き直りすぎだろう。

さあ、そしてお決まりの旧宮家男系男子の登場。
ツッコミはあとにして、まずは抜粋を。

そこで、昭和22年に日本国憲法と現行皇室典範の
施行後も皇族の地位にありながら、
占領軍の圧力で皇籍離脱を余儀なくされた、
旧皇族の男系男子孫の方々に皇籍を取得して
いただこうとの提案がなされている。
(中略)
これを「憲法14条が禁止した門地による差別だ」との
議論が一部にあるようだ。要するに、国民の中から
誰かを皇族にすると差別に当たると言うが、
「皇室は身分制の飛び地」という言葉を知らないのか。
現在でも女性は婚姻により皇族になることはできるが、
男性はなれない。14条が禁止する性別による差別が
行われているが、誰も問題にしない。
皇室の話に人権を持ち出すなど、憲法学の多数説が
認めないからだ。


旧皇族が「一般国民」だということを知らないのか。
14条は「一般国民」の話である。
一般国民が皇室に入るかどうかを
血統(=門地)で決めてはならない。
入る先である皇室が飛び地かどうかは、
ひとまずここでは関係がないのだよ、倉山クン。
「婚姻で女性だけが皇族になれる」というのも、
明白な論点ずらし。
これが性別による差別(!)だというなら、女性皇族だけが結婚して
民間に下る現在の皇室典範も問題視しなきゃ整合性がとれない。
いい加減、一部を切り取って曲解するのはやめなさい。妄想が過ぎる。

でもあなた、旧皇族の男系男子孫が「一般国民」だってこと、
わかっているよね?
だって、皇籍復帰ではなく、皇籍取得って
ちゃんと書いているもんね?


最後は、笠原英彦慶應大教授の
「女系を容認した場合に最大の問題となるのは
皇婿殿下であり、単なる一般国民では務まらない。
旧皇族の方々以外にいるのか」という問題提起を取り上げ、
こう結んでいる。

私は女系天皇容認論者でも、話ができる方々の意見は
拝聴する。

いちいち上から目線なのが笑えるが、
これって要するに、女系天皇が誕生したら、
旧皇族の男系男子孫と結婚させろってことでしょう?
いったい女を何だと思っているのかね。うざくてしょうがない。

それにしても、
「日本国憲法施行後も皇族の地位にあった云々」とか、
「旧宮家の男系男子と女性皇族を結婚させろ」とかって、
倉山が侮蔑していたY染色体論者・八木秀次が
主張していることと全く同じ。

倉山は、自分が八木と同レベルだということを
自ら証明している。

ご苦労さま。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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