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笹幸恵
2023.8.19 13:07日々の出来事

西欧人には理解しがたいこと。

私は映画などで、なぜイギリス人があんなに
皮肉たっぷりな会話をするのか、理解できない。
そんなに世の中のことすべてを斜めから見ていたら
疲れそうだよな〜とか思いながら、字幕を見ている。

私はニュースなどで、なぜアメリカ人があんなに選挙で盛りあがり、
反対陣営に罵詈雑言を浴びせるのか、理解できない。
そんなに口汚く罵っていたら、さらに分断が深まるだろうなあ〜
とか思いながら、テレビを見ている。

異なる歴史文化の中で育ってきたのだから、
価値観が異なるのは当たり前だ。
理解しがたい部分があるのも当たり前だ。

先日、こんなネットニュースが流れてきた。

“日本人を殲滅せよ” アメリカ従軍記者は何を見たのか
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230811/k10014156211000.html

米タイム誌の従軍記者だったロバート・シャーロッドの
取材記録の紹介記事だ。
シャーロッドはアッツ島やタラワ、硫黄島や沖縄などの
対日戦線に従軍記者として赴き、多くの著作がある。
『タラワー恐怖の島』などは、私も何度も読んだ。

その彼の、アッツ島での記録にはこう記されている。

「島に残っているほとんどすべての日本人が団結し、
自分たちが死ぬ前にできるだけ多くのアメリカ人を殺そうと、
最後の決死の努力をした。
この狂信の結果は想像を絶するものであった。
少なくとも半数の日本人が自殺している。
その暴力的な光景は、西洋人の心では理解しがたいものである」

サイパンでは、兵士のバンザイ突撃ばかりでなく、
一般人さえも投降せずに海へと身を投げた。

「戦いの果てにアメリカ人が見たものは、気が遠くなるような、
とても信じ難いものだった。
理解するためには、人間の思考プロセスに関する
西洋人の概念をすべて捨て去らねばならなかった。
サイパンの最北端で、日本の民間人の大部分が平然と、
意図的に自殺していた」


私は、アッツ島での総攻撃も、サイパンでの民間人の死も、
「人間の思考プロセスに関する概念を捨て去らねばならない」
ほどの違和感を持たない。
いや、むしろ、それをどこか自然なものとして受け入れている。
良いとか悪いとかではなく、無意識のうちに内面化された、
歴史文化に裏打ちされた価値観であり、
それがすなわち「日本に生まれ育ってきた」ということなのだろう。

善悪はもとより、それをもって卑下することもなければ、
非難する(される)いわれもない。
ただ、「あなたはそうなのね、私はこうです」というだけの話。

戦争への向き合い方(用兵思想なども含めて)は、
それぞれのお国柄が出る。
だからどこかで文化人類学的な視点が必要になると思っている。

現代社会もまた然り。
正義や人権、あるいはグローバルスタンダードの名のもとに、
私たち日本人の内面化された価値観を批判するなかれ。
それは我々が長年培ってきた文化を否定し、
歴史を冒涜する行為だ。
余計なお世話、なのだ。

 

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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