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ゴー
2023.11.29 23:55

よい子は「名誉毀損」に萎縮しちゃだめよ

 

イケメン弁護士のゴー(茅根豪)です。

今日は、インターネット上の名誉毀損について一緒に考えて見ましょう。

 

さて、例えば、上記サンプル写真のイケメン弁護士に対して、X上で、「こいつ、禿げてるじゃん!笑」と投稿したらどうなるでしょうか? 今回は民事上の名誉毀損で検討します。

まず、民事上の名誉毀損が成立するには。ざっくり言うと、①事実の摘示事実の摘示により社会的評価が低下しなければなりません。さらに、③公共性、④公益性、⑤真実性がないことが必要となります(厳密な説明ではないけど気にしないでね)。

では、今回、①事実の摘示はあるでしょうか?

こいつ、禿げてるじゃん!笑」で言うと、まず「禿げてる」かどうかが問題となります。禿げていれば「事実の摘示」をしたことになります。逆に、禿げてなさそうなのに禿げてると言ってる場合は、「事実の摘示」というより「論評」であり、「論評」の場合は①②③④⑤に加えて⑥論評として逸脱していることが必要となります。

「禿げ」について証拠から認定できるなら「事実」です。反対に証拠から認定できず主観的なものに留まるなら「論評」となります。

そうすると、名誉毀損だ!と言いたい側(イケメン弁護士側)は、「事実」だと主張する方が得です。なぜなら、もし裁判所に「論評」だと言われちゃうと、⑥の要件が増えるので証明の負担が増えるからです。

例えば、裁判上で「禿げ」が「論評」とされた場合は、その表現が「⑥論評として逸脱してる」、すなわち「禿げなどと言う物言いは、当該場面で不必要であり、表現の態様としても人格攻撃に及んでおり、論評の域を逸脱している!」と言えないと、名誉毀損が認めてもらえないのです。

①事実の摘示」だけでも、上記のように理屈を色々と組み立てる必要があります。ずいぶん面倒くさいですよね。これでもかなり端折った説明なのですが、「禿げ」が事実か否かだけでも、法的に名誉毀損だとするのは簡単ではない!ということです。

 

気を取り直して続けます。

X上で、「こいつ、禿げてるじゃん!笑」と言っちゃったら、当然に「②事実の摘示により社会的評価が低下」するのでしょうか?

どうでしょうか、弁護士に対して、「こいつ、禿げてるじゃん!笑」と言っちゃうと、その弁護士の社会的評価は下がるのでしょうか?

意見が分かれるところだと思いますが、例えば、当該弁護士がその外貌も含め社会的な信用を得ているような場合は、その外貌の中心である頭部について、一般的に悪いイメージとされる「禿げ」とのレッテルを貼れば、当該弁護士の威信が傷つけられ、その社会的評価が低下するかもしれません。

反対に、弁護士は頭脳労働であると思われている職業であり、外貌をどのように評価されても、その弁護士の職能に対する信頼が揺らぐとは考え難く、その社会的評価も低下することはない、仮に低下したとしても微々たるものである、と言えるのかもしれません。

そうすると、低下するにせよ、低下しないにせよ、様々な視点や論証があり、絶対にどっちかとは言い切れませんよね。そして、この後には、③④⑤(場合によっては⑥)の立証が続きます。

 

以上、①②だけですが、かなり端折って説明しも非常に面倒くさいものであることがご理解いただけると思います(長いのでここまでにしますね)。

私が何を言いたいかというと、民事上の「名誉毀損」ですら、上述のように簡単に成立するものではないんだということです。そりゃそうですよね。ちょっと悪口っぽいこと言ったり、軽口たたいちゃったり、皮肉を言っただけで、その多くが名誉毀損で損害賠償請求される世の中って嫌じゃないですか。

まして、客観的な資料を数多く挙げながら、その資料から合理的に推論できるストーリーをどれほど力強く主張したって、その主張が名誉毀損だと言われる筋合いはありません。そのときこそ表現者に対する人権侵害です(憲法21条)。

昨日発売の週刊SPA!で、小林よしのり先生が『「当事者の会」への疑惑』を描かれていますが、もうこれこそジャーナリズムで真実追究の極地といえる漫画になっています。とゆーか、本来、フィクションもありの漫画でここまで厳密にやらねばならない社会風潮が狂ってますよね。

本来は、新聞やテレビなどのニュースメディアこそ、「当事者の会」の中心人物らの言動に著しい矛盾があることを追求すべきでしょう。絵柄(悪人面)でも構成(ストーリー)でも、漫画には描き過ぎも含め、かなりの飛躍を含んだ表現の幅が確保されるべきだと私は思います。

社会常識(例:メディアのジャーナリズム機能)がめちゃくちゃになっており、常識からの飛躍が面白みとなる漫画が、社会常識を正面から描き出さなければならない状況がずっと続いています。まあ、小林先生ご本人がずっと嘆いてらっしゃることですが。

とにかく、いま発売中のSPA!は面白いですよ!

既存のニュースや報道に不満がある人、日本のジャーナリズムに諦めてしまった人、とにかくジャニーズが好きな人、そんな人はぜひ買って読んで見てください。

絶対におもしろいから!

 

あ、ちなみに上記のイケメン弁護士のこと「禿げ」呼ばわりしちゃだめですよ。

「薄い」だけです。

ゴー

昭和50年生まれ。神戸市在住。一児の父。いまのところ弁護士。サラリーマンが長続きせずバイトも続かず三十代で司法試験を目指し間違って合格。こんな責任が重い仕事は早くリタイアしたいと思っている。19歳から読み始めた漫画(ゴーマニズム宣言)を未だに卒業できず今日に至る。同書は今も隠れて読んでいる。仕入れた知識や思想で過去の自分にマウントをとるのが好き。本当は沢山の人とゴー宣の話題で盛り上がりたいと思っている。

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