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高森明勅
2024.3.4 06:25皇統問題

皇祖神がイザナキのミコトならば皇室はなぜ手厚く祀らない?

男系に固執する論者たちの言動がどんどん皇室に対する
非礼·不敬に傾いているのは何故か。

例えば、皇室の祖先神が天照大神であるという古代以来揺るぎのない
信仰上の事実すら、懸命に否定しようとする。
皇室の伝統は男系と言いたくても皇祖神が女性(!)では
ツジツマが合わない。
さすがに、その程度の自覚はあるようだ。

そこで、天照大神が女性神であることを否定しようとしても、無理。
なのでやむなく、天照大神を皇祖神と認めないという非常識を、
敢えて犯すしかなくなってしまった。
その場合、天照大神以外のいかなる神が皇祖神なのか。
これまで、スサノヲのミコトとか高皇産霊尊などの神名が、挙げられていた。
その他に、イザナキのミコトの名前も登場しているようだ。

しかし、これまでも繰り返し指摘してきたことだが、
その神が皇室によってどのように祀られて来たのか。
その事実を見れば結論は明らかだ。 

言うまでもなく、皇居内で祭祀が執り行われるのは宮中三殿(及び神嘉殿)。
イザナキのミコトがその三殿のどこに祀られているのか。
スサノヲのミコトや高皇産霊尊と同じく、他の八百万の神々と一緒に
三殿の向かって右側にある「神殿」に祀られている。
これが皇祖神に相応しい祀り方と言えるのか。

一方、天照大神は一柱だけ特別に、三殿の中央に建てられ、
他のニ殿より少し大きめに造られている「賢所」に祀られている。
祀り方が全く異なる。

又、イザナキのミコトを祀る神社は複数あるが、その中心となるのは
淡路島にある伊弉諾神宮だ。
しかし伊弉諾神宮は、定期的に天皇の使者である勅使が
祭神に供え物をする「勅祭社」に加えられていない。

一方、天照大神を祀る伊勢の神宮は全国に16社ある勅祭社より
更に高い地位にあり、勅使の参向は他に類例が無い年に3度にも及ぶ。
更に現在、天皇陛下の妹に当たる黒田清子様が「祭主」として
奉仕されている。

神宮は古代以来、絶えることなく皇室から格別の待遇を
受け続けて来ている。
一方、伊弉諾神宮が歴史的にそのような扱いを受けたことはない。

先頃も、敬宮殿下が大学ご卒業と日本赤十字社への
嘱託勤務という節目を迎えられることから、3月下旬にも
神宮と神武天皇陵へのご参拝が予定されているとの報道があった。
このような時も、伊弉諾神宮にお参りされることはない。
こうした祀り方の明らかな違いを見れば、どちらが皇祖神かは
疑問の余地が無い。

なお誤解を招かないように付言するが、伊弉諾神宮は
古代の法令集『延喜式』では「名神」「大」社とされ、
明治以降敗戦までの神社制度でも「官幣大社」とされており、
勿論、一般の神社に比べて手厚い待遇を受けて来た。
だが、皇祖神を祀り最高至貴とされる伊勢の神宮と比較すれば、
それに比肩するような位置付けではなかったという事実を
指摘した迄だ。

伊弉諾神宮の尊厳を損なうような意図は全く無いで、念の為。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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