ゴー宣DOJO

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笹幸恵
2024.4.6 07:32皇統問題

本質に全く触れない倉山記事。

『SPA!』4/9・16号の倉山記事、彼の十八番である
「問題のすり替え」が炸裂している。

もう冒頭から、読み手を置いてけぼりにした、
ボクって知識人っぽいだろ?という腐臭がプンプン漂う。
そこからしてツッコミどころ満載なのだが、
ここでは主題(何が言いたいかわからないので推測だが)のみ、
触れることにする。

今回は憲法第14条「法の下の平等」を取り上げている。
倉山は男系男子固執派で、当然、旧宮家系男系男子を
養子とする案に賛成している。
ならば、それが「法の下の平等」に抵触しない
(門地による差別に当たらない)ことを
論理的に証明してみせなければならない
(そうでないなら、憲法14条を取り上げる意味がない)。

ところが、これは第3章(国民の権利及び義務)の規定であり、
皇室の方々に杓子定規に適用されない、これが通説、
と述べた上で、

そもそも、皇室は世界一の「門地」だ。

と記して終わっている。

え。終わり?
何のための14条の話なの???
そもそも、一般国民から血統のみで皇族になる人を選別するのなら、
問題になるのは第1章ではないでしょ。
いくら皇室が世界一の門地だと言ったところで、
何の意味もない。
養子縁組で皇族にしようとしている
旧宮家系男系男子は、一般国民なのだから。
小学生でもわかる話が、倉山の硬直した化石脳では
理解不能なようだ。
本質に触れず、皇室が門地だと言い募って煙に巻く。


そして14条の関係でもうひとつ取り上げているのが婚姻。
美智子さま、雅子さま、紀子さまは、生まれたときは
民間人だった。
そしてこう綴る。

これは憲法14条が禁止する「性別による差別」か。
特定の国民の中から、特定の人だけを皇族とするのが差別ならば、
形式要件でそこだけ取り出したら差別である。
まず、女性だけが皇族になれるのは男性差別である。
また、皇族になれる女性とその他の女性との間でも
差別が生じている。
ところが、誰もそんな恥ずかしいことは言わない。
また、どの憲法学の教科書にも、「婚姻により
皇族となる時だけは憲法14条の例外」などとは
書いていない。
(だから皇室のことは皇室の掟に任せればよい)

失笑だよね。

女性だけが皇族になれるのは男性差別
→皇族女性は一般国民と結婚したら民間人になるのとセット。
男性差別でも何でもない。
一部だけ切り取って都合よく解釈するなんて
最もやってはいけないことだと、修士課程でも
教わらなかったようだ。

皇族になれる女性とその他の女性との間でも差別が生じる
→生じないよ。恋愛結婚したんだから。
一般国民を門地で選んだのではないのだから。
だいじょぶか?

ところが、誰もそんな恥ずかしいことは言わない。
→言っているのは倉山だけ。

その後は、皇室の掟とやらが立憲だの、
皇室法は実質的憲法だのと、うんちく垂れ流し状態。

男系男子養子案が憲法14条に抵触しないことを
何とかして伝えたいだろうに、それにはひと言も触れず、
皇室が世界一の門地であること、
皇室の掟が大事であることを縷々綴り、
挙げ句に小室圭さんをまたディスっている。

本丸には切り込まない(切り込めない)。
だから外堀を埋めるしかない(埋まってないけど)。

曖昧な言葉を並べ立て、知ったかぶり、思わせぶりに終始し、
本質的な問題にかすりもしないこんな記事など、
法学部1年生のレベル以下だ。

最後のほうで、法律論を熱く綴っている。

憲法14条は、不合理な差別は禁止する、
合理的な区別は許容する、その基準は何か。
区別をする立法目的に合理的な根拠があり、
かつその区別の内容が立法目的との関連において
不合理なものでない場合は、立法府の合理的裁量判断の
範囲を超えるものでないとされる。
婚姻により女性が皇族となって、何か不都合が
あるだろうか。

ないよ。
そんなの、基準をいちいち持ち出さなくても、
多くの人は常識でわかる。
問題なのは、婚姻により女性が皇族になること云々ではない。
真正面から、自分の主張に向き合いなさい。
男系男子に固執したのでは、憲法が要請する「皇位の世襲」に
応えられない。直系長子にしたほうが合理的だ。
それすら検討せず、一般国民である男系男子を優先させることが
「不合理ではない」となぜ言えるのか。
合理的裁量判断とやらの話をするなら、本丸はここでしょ。

問題をすり替えて何かを語ったつもりになるの、
いつまで続ける気?
自分の主張に合理性がないことを証明しているようなものだ。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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