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ゴー宣ジャーナリスト
2024.5.8 07:00ゴー宣道場

消えていくもの

千葉の田舎からKがレポートします。

私が住んでいる鴨川市に開業医をしていた原進一(18911967という方がいました。

この人は明治24年鴨川に生まれ、大正5年東京帝国大学医学部を卒業すると東京法医学教室勤務を経て東京で開業します。東京在住中は日本画家の横山大観の主治医でもあったようです。

どういう事情があったのかわかりませんが、昭和5年に出身地の鴨川へ戻り、開業しました。その昭和5年開業のために建てられた家は、原が昭和42年76歳で亡くなったあと、昭和62年まで20年間奥さんが住んでいたそうです。昭和62年以降は空き家となり、子孫の方が管理していました。その家がこの5月に不動産会社に処分されると聞きました。処分される前に、管理している東京在住のお孫さんの好意で家の中を見ることができました。

外観

 

客間

屋根裏部屋

タンスの中に敷いてあった昭和3年5月6日の東京朝日新聞

原進一は、医学だけではなく絵画、書、植物の栽培など様々なことに造詣が深く、文化活動にも力を注いでいました。昭和16年には鴨川文化協会を結成して初代会長になります。

地元鴨川の文化発展のため、植物学者の牧野富太郎を招いて講演会を企画したり、植物採集をしたりしたようです。また、残された日記や資料から「近代日本医学の父」と言われた北里柴三郎や児童文学の翻訳家、村岡花子とも交流があったことがわかりました。

 

北里博士の漢詩(七言絶句)

残された資料の中で貴重なものは郷土資料館へ寄贈され調査、研究されるとのことでした。

今回、子孫の方の計らいで処分される前に家を拝見することができたのでいろいろな事がわかりましたが、そうでなければ全てが消えてしまう儚さを感じました。

伝えていくことの難しさと大切さを改めて感じた出来事でした。

 

 


 

 

ただでさえ戦災で失われた貴重なものも多いし、戦火を免れたものでも、時間の経過とともに失われていくわけです。
これを残そうにもまずお金、そして手間暇が必要になるわけで、どうにもならないものなのかもしれませんが、やはりもったいないものですね。
郷土資料館が、貴重なものを見逃さず保存してくれることを願うばかりです。

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