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大須賀淳
2024.5.16 21:35その他ニュース

自動車のソフトウェア統一によぎる不安

トヨタ、ホンダ、日産の自動車大手3社が、自動車に搭載されるソフトウェアの一部共通化で連携するというニュースがありました。

 

経済産業省と国土交通省の旗振りで、今後ほかのメーカーにも広げたい意向のようですが、個人的にはこのニュースからとても嫌な予感がしています。

 

それぞれ独自仕様でモノ作りをしていた日本メーカーが、効率のために「ソフトの統一」に走ると、最終的にグローバリゼーション(アメリカ企業)に飲み込まれてしまうという例が、過去にいくつも存在するからです。

 

代表的な例の一つがパソコン。1980年代には、NEC、富士通、シャープなど日本の各メーカーは、互換性の無い独自仕様のパソコンを作っており、それぞれがしのぎを削る活況がありました。

 

しかし、1990年代半ば以降は、どのメーカーのパソコンも「マイクロソフトのWindowsが動く」という仕様に統一された結果、最終的に日本メーカーのパソコンは「全滅」と言って良い状況に。一番差別化とブランドのあったSONYのVAIOでさえ、別会社化の上で存続はしているものの、DELLやHPといったグローバル企業に比べたら存在感は「無に等しい」と言っても過言ではないでしょう。

 

記憶に新しい所では「ガラパゴス」と呼ばれるほど独自の文化を築いていた日本製のケータイも同じです。AppleのiPhone一強という状況はあったものの、それ以外のメーカーはほぼ全てGoogleのAndroidを基本ソフトにした結果、韓国のSamsungなどに並ぶ存在感を持った日本メーカーは、これまた「皆無」という状況に。

 

それぞれがソフトをゼロから開発するより「統一」した方が短期的な効率は良さそうに見えても、最終的には業界ごと衰退してしまうという事を、日本は何度も繰り返しているんです。きっとそのやり方は、日本企業の文化に合ってないんじゃないか?と思っています。

 

最悪のシナリオとしては…省庁主導で作ったソフトの出来が悪く(マイナンバーのシステムなど、これも枚挙に暇がない)、その状況を解消するために海外のグローバル企業製のソフトを導入し、結果として各メーカーの個性を発揮した車作りが困難になって自動車産業が衰退化…先述のように、同じような事が何回も繰り返されてきたので、決して考えすぎでは無いと思っています。

 

一見非効率に見えながらも、ガラパゴス的な独自進化によって伸びてきた固有の文化を、浅慮な効率化…いや、最終的に潰してしまうのだから、全然効率化じゃないですね。思考停止で破壊してしまう愚を、これ以上繰り返すような余裕は今の日本にはありません。

 

キャンセル・カルチャーも、こうした産業界の動きも、日本文化の著しい軽視による破壊という意味では、全く根を同じくするものと思えてなりません。とりあえず自動車のソフトウエアの件は、くれぐれも熟慮の上で事を運んでほしいと願います。

大須賀淳

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