昨日の「よしりん語録」の
最後に紹介した言葉の出典について、
早速ご教示いただきました。
ありがとうございます!
【鈴木カオルさん】
トッキーさんが取り上げていらっしゃった文言はおそらく
「クソリアリズムより理想を語れ!」です。
西部邁との対談本『反米という作法』に出てきます。
そうです、これです!

この帯の言葉は、同書のp260の見出しから採られています。
この項ではよしりん先生が、
「戦前の日本人を考えると、もっとしっかりとした理想主義を持っていたと思う」
として、第一次大戦後に国際連盟で日本が提案した「人種差別撤廃案」について語っています。
この提案は欧米列強によって強引に廃案にされてしまうのですが、それでも、提案をしただけでも有色人地域の国からは尊敬されたという事例を挙げて、
「今だって、アジアの中から主要八か国(G8)の中に入っているのは日本だけなのだから、それが廃案にされようが一蹴されようが、白人列強に対して一矢報いるようなものを平然と出してみるというような戦いを日本人がやっても十分いいはずなのに、そういう感覚を全く持っていない」
と現状を批判しています。
それを受けて西部氏が
「小林さんが言ったように、人間の現実というのは、その中に理念とか理想、知識人でも一般庶民でもいいんだけど、それを語って追い求めていくのが現実なわけです」
と応え、さらに「昔、左翼運動では、何の理念もない単なる権力闘争のことを『クソリアリズム』と言った」とした上で、今や自称保守の方がアメリカ追従で「クソリアリズムに頭のてっぺんまで漬かっている」と指摘しています。
『「クソリアリズム」より理想を語れ』
という言葉は、これをまとめたライターさんがつけた見出しが本の帯のコピーに採用されたもので、厳密にはよしりん先生自身の言葉ではないのですが、二人の議論を端的にひとことで表している、秀逸な名言だと思います。
『反米という作法』は当時よしりん先生が
「今まで作った対談本の中でこれは最高傑作である」と評しており、いま読み返してもすごく刺激的で、考えさせられることが満載となっています。
ただ残念で仕方がないのは、西部邁氏が既に亡く、西部氏に匹敵する対談相手も存在せず、そして、この本が出てから23年経っても日本は何も変わらないどころか、どんどん劣化しているということなのですが…




















