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高森明勅
2025.9.23 10:18皇室・皇統問題

「人格論」ではなく「ルール論」こそ皇位継承問題の焦点

去る9月6日、秋篠宮家のご長男、
悠仁親王殿下の“19歳の”お誕生日に、
皇室にとって40年ぶりの成年式が執り行われた。
これについてはプレジデントオンラインの連載
「高森明勅の皇室ウォッチ」で取り上げた(9月10日公開)。
https://president.jp/articles/-/102083

この時の悠仁殿下のご態度が立派であられたことは、
多くの国民の印象に残ったのではないか。
しかし一部に、その事実から直ちに、
敬宮殿下が将来即位されることを望む声への
疑問や否定に短絡する議論も、あるようだ。

或いは今後、悠仁殿下の“露出”を増やすことで
「愛子天皇」待望論に対抗すべし、といった
軽薄な論調も見られるのは、残念だ。

改めて述べるまでもなく、皇位継承問題の焦点は、
国民の立場から皇室の方々の個別の優劣を
比較·論評するごとき、非礼·不敬な「人格論」ではない。
そうではなくて、現在の皇室の危機を招いた
皇位継承ルールが抱える“構造的な
欠陥”=側室不在の一夫一婦制で少子化なのに
男系男子限定というミスマッチを、
いかに解消するかという「ルール論」だ。

その欠陥を解消しなければ、皇位継承は
やがて行き詰まり、皇室の存続そのものが難しくなる。

逆にそれが解消すれば、健全なルールによって
皇位継承の危機が緩和される。

それと共に、直系優先の原則が女性皇族にも
適用されるので、結果として敬宮殿下が
「直系の皇嗣」=皇太子になられ、
次の天皇として即位されることが確定する。
そういう順序だ。

結局、皇位継承問題を巡る議論の正否を
判断する手掛かりは、以下の3つだけ。

①皇室の「危機」をちゃんと直視ししているか、どうか。
②その危機の「原因」を正しく探り当てているか、どうか。
③原因を探り当てたら、それを取り除いて
「解決」に向かう姿勢があるか、どうか。

この3点に目を向けると、
あらゆるゴマカシに惑わされず、
ちゃんと正否を見破ることができる。

▼追記
①9月22日発売の「女性自身」と「週刊女性」にコメント掲載。
②プレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」の
今月2本目の記事は9月24日午後4時に公開予定。

▼高森明勅公式サイト
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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