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大須賀淳
2025.12.5 18:06その他ニュース

無知・マウント・他人事を超えて

「象徴的」だなあと思った記事。鳥取県の平井知事が、面会時に高市首相が人口減少問題について「東京はさまざまな無償化施策で合計特殊出生率を上昇させた」「地方は東京を見習って」と発言した事への違和感を表明しています。

 

首相の「地方は東京を見習って」発言に違和感 平井知事、県議会で言及(日本海新聞)

 

調べてみると、東京都における2023年の合計特殊出生率は全国最低、そして過去最低の0.99。まず「東京は〜」の部分は完全に誤りである事がわかります。

 

一方の鳥取県ですが、2023年の合計特殊出生率は1.44で全国9位。鳥取の数値も過去最低で、下げ幅も過去ワーストだったものの、東京よりも4割以上高い出生率の県知事が上記のような事を言われたら、ボヤきたくなる気持ちもわかります(平井知事は無所属ながら自民推薦)。

 

※追記
2024年のデータも出ていました。東京都は0.96で最低を更新。鳥取県も1.43と過去最低になったものの、下落幅は減少し出生率全国3位に浮上。高市発言の誤りはより一層鮮明になっています。

 

高市発言は、誤った知識でマウントを取ってくる非常に恥ずかしいものですが、同時に出生率という「国全体を覆う問題」に対する「国の最高責任者」の言葉として、あまりに無責任で他人事な放言としか言えません。

 

この「無知・マウント・他人事」って、首相からネットの匿名発言まで、「ネトウヨイズム」にとても色濃く見られる傾向です。もう少し正確に言えば、いわゆる「サヨク」も、主張のお題目は反対でも振る舞いの傾向は非常に良く似ている。

 

つまりは「思考停止者の現実逃避」に共通する態度です。

 

再びネトウヨに絞って見れば、皇位継承の男系固執なんて完全にこの典型。「2700年一貫して男系」や「Y染色体」などの誤った知識に基づいてマウントを取ろうとするものの、同じ時代を生きる皇族の皆様の置かれた苛烈な状況への共感が極めて薄く、どこまでも他人事のまま自身のアクセサリー的に濫用する。

 

一介の個人の姿としても眉を潜めるものですが、このマインド全開の者が首相になってしまった今、「現実」においては碌でもない出来事ばかりが噴出しています。

 

これは当然の展開で、「無知・マウント・他人事」は閉じたファンタジーへと逃避するための麻薬のようなものに他なりません。

 

「ファンタジー」は、それ単体では妄想内限定のご都合主義でしかなく、「物語」を動かす力を持ちません(むしろ、破綻させてしまう)。「国」そのものも、「皇室」も、物語の共有によって成立している存在ですが、それはファンタジーとは真逆の、現実との対峙と実存の連鎖に立脚しています。

 

本当の「ファンタスティック」は、現実の中からのみ生まれるもの。「フィクション」でさえ、想像・創造という「現実の多大な労力」によって作られます。

 

表面的な言葉が右っぽかろうが左っぽかろうが、ファンタジーの薄甘い肯定の先には、国にも個人にも「滅び」しかありません。

 

「無知・マウント・他人事」の阿片窟で感覚を麻痺させ続けるか?それとも、五感全開で現実と対峙して、その中にしか無い実存を得るか?

 

現在の日本は、この大きな岐路にあると感じられてなりません。

大須賀淳

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