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高森明勅
2010.6.5 14:39

時代錯誤な意見

過去の、乳幼児の死亡率が高かった「多産多死」の時代のデータをもとに、皇室でも正妻たる方が男子を多く産んでおられたから、側室不在でも男系限定は十分、維持できるーーとの意見を見かける。

ただしこれも、4か5の宮家を「つねに」確保していれば(!)という条件つきだ。

だが、それがムリなことは、すでに以前、述べた。

しかも、そうした「多産多死」時代のデータに依拠するのは、時代錯誤と言うしかない。

「少産少死」で非婚率も低くない現実を前にすると、そうした議論が何ら説得力を持ち得ないことは、あまりにも明白だ。

戦後の皇室、旧宮家の実情に目を向けてみれば、もうそれだけで反論の必要もないはずだ(非婚率については、皇室はさすがに低いが、旧宮家の場合、かなり高い)。

現実離れした根拠なき楽観論で皇位継承の危機に立ち向かうのは、慎むべきだろう。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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