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高森明勅
2010.7.4 15:10

沖ノ島の古代祭祀

「神道」の成立とそれ以前の線引きをすることの難しさを示す一例を挙げる。

神話に登場し、古代以来の宗像大社の祭神がまつられる、玄海灘に浮かぶ沖ノ島の祭祀遺跡だ。

ここは古代祭祀の宝庫。

4世紀から10世紀までの数多くの国家的な祭祀の遺跡が確認されている。

注目すべきなのは、祭祀のあり方が連続的に一定方向に変遷しているように見えること。

当初、祭祀は巨岩の上で営まれていた。

それがやがて岩陰での祭祀へと移り、さらに半分岩陰で半分露天の祭祀になり、最後は岩から離れた露天での祭祀へと変遷を遂げた。

その背景には、神観念そのものの変遷があったと考えられる。

この変遷のどこか好きなところに線を引いて、ここからは「神道」の成立以前、ここからは成立以後と主張するのは、もちろん自由だ。

だが問題は、それがどれだけ客観性を持つことが出来るかだろう。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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