産経新聞10月30日付「正論」欄に
憲法学者で日本大学教授の百地章氏が
「旧宮家の男子を皇族に迎えよ」との一文を発表された。
以前、女性皇族がご結婚により民間人になられても、
特例として尊称を認めて皇室活動を手伝って頂く―
というプランが出されていた。
だがこれについて、百地氏は
「新たな身分制度を作りかねないとの批判があった」などと言及。
その上で
閣議決定による称号なき
"民間人になられた元皇族女性による皇室活動”
という新しいプランに一定の共感を示す。
しかしその一方で、
「皇室活動のご支援と皇位の安定的継承の確保という
2つの目的を同時に解決する唯一の方法は
旧宮家の男系男子を皇族に迎えることしかない」と断言された。
これは言い換えると、“民間人の皇室活動”案では、
皇室活動支援などとは比較にならない、
決定的に重要な「皇位の安定的継承の確保」は不可能(!)
ということに他ならない。
自明のことながら、
改めてこの事実を率直に指摘されたのは有益。
結論として
「速やかに宮家の充実を図っておく必要がある。
安倍晋三首相の英断を期待したい」と締め括っておられる。
賛成だ。
安倍首相は「民間人の皇室活動」
なんぞという暴挙に断じて手を出してはならない。
まずは、旧宮家系国民男子の皇籍取得という方策の可能性を
真剣に探ればよい。
もちろん、その際、皇室の尊厳を汚したり、
「君臣の別」を乱すことがないよう、最大限の配慮が必要だ。
また、有形無形の強制が働かないよう、
これまた最大限の注意が求められる。
それを踏まえて、やれるだけやってみればよい。
少なくとも、最低最悪の脇道に迷い込むよりは、
遥かにマシだ。但し、
「女系を認めず、しかも(側室による)庶子継承を認めないと云ふ
継承法は無理をまぬかれぬ」(葦津珍彦氏)事実は動かないが。
なお百地氏は今回のご文章で、
旧宮家系国民男子の皇籍取得を「唯一」の解決策と限定されたが、
これは従前
「皇統を守るために、女帝さらには女系の選択もあり得る」
(『憲法の常識 常識の憲法』)とされていたのとは、
やや整合性を欠くのではあるまいか。