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笹幸恵
2023.3.17 12:33皇統問題

倉山満『皇室論』のトンデモ言説を深掘りする【8】

倉山満『皇室論』。
明らかな事実誤認、支離滅裂、意味不明が多すぎる。
今回は8回目。

【過去のブログはこちら】
倉山満『皇室論』のトンデモ言説を深掘りする【1】
倉山満『皇室論』のトンデモ言説を深掘りする【2】
倉山満『皇室論』のトンデモ言説を深掘りする【3】
倉山満『皇室論』のトンデモ言説を深掘りする【4】
倉山満『皇室論』のトンデモ言説を深掘りする【5】
倉山満『皇室論』のトンデモ言説を深掘りする【6】
倉山満『皇室論』のトンデモ言説を深掘りする【7】

前回ではハワイ王朝を例に出し、
「女系継承は『悲壮感の現れ』」だとして、
「得体の知れない」とまで言い切っている倉山の
トンチンカンぶりを紹介したが、
その後も読み手をミスリードする文章が続く。

たとえばこちら。

いわゆる女系天皇容認論は、皇室典範に関する
有識者会議の報告書にある通り、「男系男子の
皇位継承資格者の不在」という危機感から出たものです。
したがって、悠仁親王殿下がお生まれになって
この世におわす限り、必要のない議論です。

ここでいう報告書とは、平成17年に出された
有識者会議の報告書で、皇位継承資格を女性・女系にまで
拡大することを提言している。

危機感について、倉山は巧妙に論点をすり替えている。
正確には「男系男子の皇位継承資格者の不在」ではなく、
現行の皇室典範を前提にすると、現在の皇室の構成では、
早晩、皇位継承資格者が不在となるおそれがあり、
日本国憲法が定める象徴天皇制度の維持
長い歴史を持つ皇位の継承が不確実になりかねない」
である。(傍線:笹)

倉山クン、日本語理解できる?
男系男子がいる、いない、ではない。
男系男子だけに定めた皇室典範のままでは、
天皇制度の維持や皇位継承が厳しくなるよね、
と言っている。
ゆえに、報告書では次のように結論を出している。

男系による継承を貫こうとすることは、
最も基本的な伝統としての世襲そのものを危うくする
結果をもたらすものであると考えなければならない」

「検討に際しては、今後、皇室に男子がご誕生になることも含め、
様々な状況を考慮したが、現在の社会状況を踏まえたとき、
中長期的な制度の在り方として、ここで明らかにした
結論が最善のものであると判断した」
(傍線:笹)

倉山クン、日本語読める?
将来的に男子が生まれることを想定しても、なお、
皇位継承資格を拡大したほうがいいと言っている。
「男系男子がいない」→「悠仁さまが誕生されたから万事OK!」
ではないことを、この報告書では述べている。
それを「必要のない議論」などと決めつけるのは
あまりに浅はかで、無責任。

普通の読解力があれば
理解できることだと思うのだけど、
なぜわからない??
(さらに暴論続くんだよね、やれやれ)


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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