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トッキー
2022.9.11 10:00メディア

国連決議の「多数決」で「正義」は語れない?

東京大学入学式における映画監督・河瀨直美氏の祝辞を批判した細谷雄一慶應大教授を、「表現者クライテリオン」7月号の巻頭コラム「鳥兜」が「ヒステリックな魔女狩り」と非難した件について、さらに検証をしていきます。

鳥兜筆者は、細谷氏の「国連総会決議で賛成141対反対5でそのウクライナ侵略が非難され、ブチャ虐殺で国連人権理事会でロシアが資格停止された直後に『ロシアの正義』に触れるとは。」という発言に対して「正義を語るのに『多数決』の印籠を必要とする御仁」と罵倒しました。

要するに鳥兜筆者は、こう言いたいわけです。

「国連の多数決で決まったからロシアは悪」なんて、単純なもんじゃない!
正義は「多数決」では決まらない! ロシアにはロシアの正義がある!

しかし、国連総会における「賛成141対反対5」という大差の決議を、そんなに軽く見ていいのでしょうか?

細谷氏は、鳥兜筆者が引用したツイートに続けて、こうツイートしています。

 

「国際社会における正義は多元的」、つまりロシアにはロシアの正義があるということくらい、細谷氏は当然の前提としているのです。

しかしその多元的な正義をそのままにして、各国がそれぞれの正義を主張していたら、果てしなく正義と正義が衝突して、収拾がつかなくなってしまいます。
だからこそ、「国連という緩やかな協議体、合議体によってかろうじて国際社会で受け入れ可能な正義が生成されている」のであり、現状ではそれ以外に国際秩序を維持する手立てはないのです。

それゆえに国連総会決議の「賛成141対反対5」というのは非常に重い意味を持つのに、「なぜそれを看過するのか」と細谷氏は言っているわけです。

「国連総会決議の多数決なんかで『正義』は決まらない! ロシアにはロシアの正義がある!」なんて言い出したら、国際秩序は崩壊します。
「殺人やレイプをした人にも『正義』はあるかもしれないが、それを罰せずには社会は機能しない」と細谷氏が言っている、まさにそのとおりなのであって、ここは殺人犯・レイプ犯の「正義」にも耳を傾けよなんて言ってる場合ではないのです。

鳥兜筆者は、自分が国連総会決議の「多数決」の意味を全く理解していないレベルだということも自覚せず、細谷氏がただ「多数決」というものを「水戸黄門の印籠」のように崇め奉っているものと思い込み、細谷氏を「多数決」がなければ「正義」とは何かを考えることもできない、思考停止の人物だと評したのです。

ここまでデタラメな名誉毀損はないでしょう。
バカが自分をバカと気付かぬまま、バカな知識とバカな思考で他人を批評したら、名誉毀損だらけになってしまうのです。

 

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テーマ: ゴー宣DOJO in名古屋「人権カルトと日本人論」

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