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トッキー
2022.9.15 11:06メディア

「どっちもどっち論」は単なる国際法の無知

表現者クライテリオンは、いい雑誌だと思います!
でも、いいところを探してるヒマがないのでさっさと本題に入ります。

「表現者クライテリオン」7月号巻頭コラム「鳥兜」が特に慶応義塾大学教授・細谷雄一氏を目の敵にして、およそ言論人とは思えないデマ攻撃までした理由は、昨日のブログをお読みいただいた方にはもうお分かりだと思います。

細谷氏は、悪いのは米国だ、NATOだと言って米国批判とウクライナ批判に傾斜する人は、ロシアの心理戦にやられているという構造を実にわかりやすく解き明かしています。

これに対して鳥兜筆者は、何も有効な反論ができなかったのです。
しかしそれを認めてしまったら、「表現者クライテリオン」7月号の特集は、ロシアのプロパガンダに騙された馬鹿の集まりであると認めることになってしまいます。
それだけは編集長としてどうしてもできないから、デマ攻撃で細谷氏の言説を否定するという、卑怯な手に出るしかなかったのでしょう。

…あっ、いつの間にか、鳥兜筆者は藤井聡編集長だということにしちゃってる!
藤井氏が否定しているのに!

さて、今日はさらに鳥兜筆者が細谷氏を目の敵にする原因となったのではないかと思われる、細谷氏の連続ツイートをご紹介します。

 


 

なぜ「ロシアもウクライナも両方悪い」という議論が適切ではないのか。それは国際社会にもルールや規範があるから。ロシアの行動は、国連憲章2条4項の国際紛争解決のための武力行使を禁ずる国際法違反。ウクライナの行動は、同51条の個別的自衛権行使に基づくもの。国連総会も日本政府も、それに賛同。

ウクライナにネオナチがいるとかゼレンスキー大統領に問題があるとか、そういったプーチンや反米親露のメディアや知識人の主張に耳を傾ける前に(基本的に武力行使禁止の免責条項にはならない)、まずは国際法上違法性の高いロシアの武力攻撃が、どういう論理で合法性の担保が可能か考えるべきでは。

あらゆる戦争が悪であると述べることは、正しいようでありながらも、20世紀の国際法と国際的規範の歩みを全否定すること。道徳的な高みになって、「あらゆる戦争は悪であってどちらが正しいというわけではない」と論じることは、20世紀の平和への努力を蹂躙すること。

国際法を無視した侵略的な武力攻撃、さらには無差別な一般市民の殺戮は悪であるが、そのような侵略から国民の生命を守るために自衛的措置をとる行動は、合法であり正当な行動であるということを理解してほしい。だからウクライナの行動が国際的に支持され、国際社会から支援されている。

これらの前提を知らずしてか、無視してか、「ロシアもウクライナも、戦争をしているのはどちらも悪いのであって、片方を支持するべきではない」というのは、国際的には全く共感されず、単なる国際法の無知とされてしまう。

もちろんより重大な問題として、常任理事国が拒否権を持ち、ロシアの妨害で国連安保理決議が採択されないこと。だからこそ、ゼレンスキー大統領は日本での演説で、国連改革の必要を解き、イギリス政府は国連安保理からのロシアの除外を求めている。現状の国際社会は完璧ではないが、法と規範も存在。

とはいえ、もちろん、国際法は「白と黒」で分かれているのではなく、多くのグレーゾーンがある。また、冷戦後の30年間で、アメリカが国際法や国際的な規範を踏み躙るような行動を幾度もこない、アメリカへの不信感や、国際法の信頼性が大きく後退したのも事実だと思う。その隙間をついたのがプーチン。

なので今回のロシアの行動を放置すると、国際法や国際的規範に基づいた国際秩序が瓦解すると思う。そうなれば、「法の支配」ではなくて核兵器の数によって国際紛争が解決される時代へ。アメリカ、ロシア、中国がこれまで以上優位に立ち、日本の主張は悉く無視され主権と利益が侵害されるはず。

言い換えれば、アメリカもロシアも中国も自らの圧倒的な数の核戦力に基づく軍事力で自国の主権や利益を守れるが、そうでない中小国はウクライナの例のように、自国の主権や利益を守れなくなる。そうなれば、世界中が核開発競争になる。そして平和国家の日本の主権と利益は蹂躙され続けるだろう。

結論。なので私は、情緒的及び感覚的に「戦争はどちらも悪い」と論じることは適切ではないと考えている。また、テレビなどのメディアに携わる方、発信する方も、そのような国際法上の武力行使の合法性をぜひ理解した上で主張してほしいと思う。言論の自由のある日本では多様な主張が可能だが。

 


 

鳥兜筆者がこれを読んだ上で「たまには『国際法』で割り切れない情念や道徳にも関心を持ったらどうか」なんて書いたのだとしたら、あまりにも恥ずかし過ぎると思いませんか?

 

【ロシベタクライテリオン論破祭り】
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第7回 ロシア経済崩壊の「主犯」は誰か?
番外編 藤井氏動画コメントに見る、クライテリオン読者・支持者の「程度」
第8回 藤井聡が依拠する、伊藤貫の「国際情勢認識」の正体
第9回 藤井聡氏に小学校の国語のテスト。
第10回 クライテリオンは朝日と産経の「悪いとこ取り」
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