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トッキー
2022.9.16 11:12メディア

国際政治学者は亀山郁夫氏を「魔女狩り」したのか?

表現者クライテリオンは、いい雑誌だと思います!
特に9月号でロシア文学者・亀山郁夫氏が、ロシア人がどういうものの考え方をするのかを詳しく語っているインタビューは参考になります。
もっとも、それがわかればわかるほど、「アメリカにも問題があることは百も承知だけれど、ロシアよりはマシ」という感想しか湧いてこなかったのですが。

さて、その亀山氏に関して、「表現者クライテリオン」7月号巻頭コラム「鳥兜」ではこう書いています。

〈五月には、あるロシア文学者が新聞に所感を寄稿して、「率直に胸の内をさらせば、ロシアを憎み、アメリカを憎んだ」と書いたのだが、これまた「どっちもどっち論」としてバッシングの餌食となった。(中略)
 このヒステリックな魔女狩りを先導しているのは、「国際法」を笠に着て平和の守護者を自認する、一部の国際政治学者たちである。(中略)無意味な「どっちもどっち論」叩きに精を出す暇があるなら、たまには「国際法」で割り切れない情念や道徳にも関心を持ったらどうか。〉

この「あるロシア文学者」が亀山氏のことで、新聞に発表した所感とは、朝日新聞5月3日付に載った連載企画「2.24後の世界で」への寄稿です。
(「朝日新聞DIGITAL」の有料記事で読めます)

https://digital.asahi.com/articles/ASQ4W6GB3Q4WUCVL01D.html

鳥兜筆者は、映画監督・河瀨直美氏の東大入学式祝辞の件に続けて上のように書いていて、河瀨氏と亀山氏が「一部の国際政治学者たち」の先導する「ヒステリックな魔女狩り」に遭ったとして非難しています。

そこでその亀山氏の寄稿を読んでみたのですが、ドストエフスキーやトルストイを持ち出した回りくどい言い方で、戦争が起きていることをすごく嘆いているということだけはわかるのですが、それ以上は何が言いたいのかよくわからない文章で、その中に唐突に「率直に胸の内をさらせば、ロシアを憎み、アメリカを憎んだ」という一節が入っていました。

本当に前後に何の脈絡もなく、この言葉だけが差しはさまれているので、いったい何のつもりなのか、わけがわかりません。

そこで、この文章に国際政治学者がどんな「魔女狩り」を仕掛けたのかと思ってツイッターを探してみました。
意味不明で、どうとでも取れる記述なので「どっちもどっち論」「相対主義」という声もあったようですが、それは当然の反応でしょう。
しかし、私が探した限りでは、該当するような「ヒステリックな魔女狩り」というべきバッシングは見当たりませんでした。

特に国際政治学者による批判は、東京大学の池内恵教授がそれ以前の3月の時点で、毎日新聞に載った『ロシア文学者を「絶望」させたプーチン氏の「最後の夢」』というタイトルの亀山氏のインタビュー記事について、
「亀山郁夫はいつも大袈裟に絶望しているので、有意な情報ではない。」
と斬り捨てていて、そして件の朝日新聞記事については、こんなツイートをしていたのが見つかったくらいです。

 

池内氏は上のツイートに、さらに
〈この場合「人文系の素養がある」というのは「亀山郁夫に聞いても見当はずれな発言しかしないよ」と理解しているという意味です。〉
とダメ押ししています。

池内氏は亀山氏や、亀山氏を使う新聞を完全にバカにしてはいますが、「ヒステリックな魔女狩り」は先導していません。
国際政治学者が「『国際法』を笠に着て平和の守護者を自認」して、亀山氏を叩いたなどという事実は確認できませんでした。

またもや、デマ攻撃です。
鳥兜筆者は、なぜそうまでするほど「国際法」や「国際政治学者」を憎悪しているのでしょうか?
しかも、論戦で勝とうとするのではなく、ひたすらデマ攻撃するだけって、どういうことでしょうか?

「保守思想誌」の巻頭コラムに、こんなにデマだらけの文章載せて、いいわけないでしょう?
これじゃあ「表現者クライテリオン」は「デマ雑誌」だと認定するしかありませんよ、藤井聡編集長?

まさか、どうせこんなもん誰もちゃんと読むわけないし、まさか書いてあることが本当かどうか検証する奴なんかいるわけないから、偉そうに断言さえしておけば、みんな信じるだろうなんて、言論をナメ切ってたんじゃないでしょうね?

とにかく、今後はこの人が何を言っていても、ウラを取らなければ信用できないということだけははっきりしました。

 

【ロシベタクライテリオン論破祭り】
第1回 ウソついて逃げるクライテリオン藤井聡!
第2回 ロシアのプロパガンダを「多面的な解釈」と強弁する藤井聡!
第3回 道路交通法と国際法の区別がつかない藤井聡!
第4回 藤井聡の言う「多面的解釈の外交」とは何か?
第5回 NATOの東方拡大はアメリカの「裏切り」か!?
第6回 確かにアメリカは悪い! けど…?
第7回 ロシア経済崩壊の「主犯」は誰か?
番外編 藤井氏動画コメントに見る、クライテリオン読者・支持者の「程度」
第8回 藤井聡が依拠する、伊藤貫の「国際情勢認識」の正体
第9回 藤井聡氏に小学校の国語のテスト。
第10回 クライテリオンは朝日と産経の「悪いとこ取り」
第11回 ブチャ虐殺を「フェイク」だと思っていた藤井聡
第12回 「魔女狩り」という言論封じワード
第13回 もう一度、道交法と国際法の違いについて。
第14回 藤井聡氏の国際法軽視は西部邁氏の悪影響か?
第15回 明日よりクライテリオン論破祭り、最終章!
第16回 河瀨直美の祝辞はどう見ても「どっちもどっち論」「相対主義」(しかも日本絶対悪主義)だ!
第17回 篠田英朗氏は河瀨直美氏を「魔女狩り」したのか?
第18回 池内恵氏は河瀨直美氏を「魔女狩り」したのか?
第19回 細谷雄一氏は河瀨直美氏を「魔女狩り」したのか?
第20回 国連決議の「多数決」で「正義」は語れない?
第21回 「一般的道徳」って、何だろう?
第22回 平和ボケと自虐史観に完全に侵された放言
第23回 言論人とは到底言えない卑怯!「鳥兜筆者」のデマ
第24回 「どっちもどっち論」は単なる国際法の無知

 

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テーマ: ゴー宣DOJO in名古屋「人権カルトと日本人論」

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